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太陽活動

改めて、「すごい面接」

 大きな仕事が終わったので、新幹線の中から感想を送っています。

 「すごい面接」の何がすごいかというと、小さな文字で「ビジネス編」と書いてあるところがすごいです。ずるいです。騙された人、いるんだろうなぁ。

 最初は、面接の話から始まります。そこに登場するアスペルガーの青年が果敢に面接に挑むわけです。実は、これ、笑い事では済まされない深刻なテーマが潜んでいます。このように仕事を求めて面接に行くだけのモチベーションはあるわけですから、知的に問題があるとは考えにくいでしょう。しかし、社会の中で生きていくコミュニケーション能力や、場を理解する能力がごっそりと抜け落ちているために、一般的な常識と言われることが理解できないわけです。これは、当の本人は何ら悪くなく、生まれつきの脳の機能的な問題と言えます。このような、知的に保たれていて、でも社会のシステムに適応できない人はとても多いです。しかし、このような発達障害の方に対して行政の対応はとても冷たいです。「すごい面接」は、そのような笑いの中に現代の深刻な雇用問題について問題を投げかけている鋭い作品なのです。

 「手作り人形」は、なにか、女性の恐ろしさ、愛情の深さというものを感じる作品です。ふと思い出したのですが、赤の他人(女性)がある男性をストーカーのように見守ることがあったら怖いと思いませんか? むちゃくちゃ怖いですよ。ええ。

 「ボランティアの案内おじいさん」は、最初Kindleが壊れたか、自分の頭がおかしくなったかと思いました。あとがきにも書いてありますが、語りは落語と同じ構成になっています。できれば上手な若手落語家に新作ネタとして語ってほしいと思いました。よく出来ています。そして、感心したのは、昔の家の作りについての知識です。おそらく、似たような話を研究して作り上げていったと思います。

「朝の風景」は、自分の家のニワトリを思い出してしまい、目頭が熱くなってしまいました。これは、私だけの反応です。はい。

「愛国心の果てに」ですが、大変長いストーリーで、おそらく最も気合が入った作品だと思われます。他の作品は日常の一部を切り取る形で作品としていますが、この話は全くの非日常で、読者の想像をはるかに超えた異常な世界の物語です。描写も細かく、おそらく作者が想像しうる情景を文字としてふんだんに注ぎ込んでいると考えました。最後まで謎が残されており、読者が飽きさせないよう、次から次へと意外なイベントが起こるわけです。

 それぞれ全く違う文体で構成された短篇集ですが、この作品を皮切りに次のステップに繋げたいという意気込みが詰まっています。どの作品も計算されており、何度も修正を加えて完成させたに違いありません。読者側も、繰り返し読んで、結論を知った上で最初から読むと新たな発見ができる楽しみがあります。決して期限に追われて書いた(かどうかわからないけど)「我妻」とは違うんです。

 久しぶり読書の楽しさを実感させてくれた1冊、これから秋深まる季節です。是非読んでみてください。

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